ハモニカ便り コアアートスクエアからのお知らせ
2026年01月03日
店長から新年のご挨拶
謹 賀 新 年
初空やいよいよ人のちひさけり 吉生
三歳の子が言葉を覚えるのとは逆に、七三歳が言葉を忘れることの内に、老いは象徴的に現れる。むろん、人は言葉の経験によって世界を獲得する。
土肌の色だけを見て坂を駆け上がったのは、若さゆえのことだったに違いない。頂を見定めぬまま、いまや下り坂の途上にいる。だが幸いなことに、下り坂では視界の先に風景が拓ける。往きでは見えなかった木々や家々が、はっきりと目に入る。その喜ばしさに気づくのも、下る者の特権だ。
年の瀬に『戦前音楽探訪』を読み、音楽を聴いた。音は、音楽のできた時代の空気を連れてくる。そうだったのだ。時流に流される者も抗う者も、小さな存在には違いない。なべて、人、人が、愛おしくさえ思われもする。
2026年 元旦 岡本吉生



